暗闇の中、見つからないように



『パチン』

音と共に、急に辺りが暗くなった。
“あ〜・・・、ヒューズ飛んじゃったな・・・”

今日は朝から雨が降っていて。
起きて見たニュースによれば
午後から嵐に変わると言っていたっけ。
きっと雨風にやられて電気が落ちたのだろう。
せっかく、愛しい恋人と甘い雰囲気に
浸っていたというのに。

「えっ?、えっ?、何?何?。
何で真っ暗になっちゃったの?」

すぐ側で突然訪れた暗闇に騒ぐ恋人を、
ギュッと腕の中に閉じこめる。

「大丈夫だって。俺がいるでしょ?」

なんて。
クサイ言葉を吐いてみる。
きっと『バカ!』だの、
『そんなこと言ってないで何とかして!』
だの返ってくると思っていたんだけど…。

ぎゅっ・・・

心細そうに、けれど、強い力で
抱き返してきた。

そんな可愛い恋人に、俺はそっと。
そっと、唇だけで笑う。
ありがとう嵐。
ありがとう、暗闇。
そう心の中で呟いて、

愛しい恋人の首筋に、そっと唇を当てた。



ドラクエ8:ククール&エイト

思わぬ停電にオイシイ思いをするククールさん。
エイトたんは恐がり屋さんで(笑)。
暗闇の中ってお題だったので、モノクロにしました。